保育士インタビュー【中編】”子どもが泣いたときはチャンス”大きな木で学んだこと、保育士として大切にしていること
大きな木保育園の卒園生で、保育士になって帰って来たMさん。今年で6年目となり、担任として活躍しています。
前編では、保育士になった理由や大きな木を選んだ理由を聞きました。
中編では、実際に大きな木で働きだしてMさんが変化したこと、保育士として子どもに対するときに大切にしていることなどについて聞いていきます。
◼︎保育士になってからの6年間を振り返って、一番の変化は
口数が減ったことですね。
というのも、今振り返ると、保育士になって最初の頃は、子供達に、「こうしなさい」とめちゃくちゃ口出ししていたんです。今思うと、圧を感じて怖かっただろうし、うるさかったんじゃないかな、と思います…。
園長の藤井や他の保育士から、普段の保育や職員会議のときに、「今のひとこといらないんじゃない?」「もうちょっと待ってあげたら。」などと言われることもよくありました。
今は、なるべく口をださずに、子どもが自分で気がついて考えるのを見守りたいなと思っています。
◼︎子どもの変化を感じたエピソード
子どもも自分も両方成長したなと思ったことなのですが、
私が担任をしているクラスで、よく泣く子(Iちゃん)がいました。
Iちゃんが泣いていると、私は「なんで泣いてるの?」「泣いててもわからないよ」と言っていました。
でも、園長の藤井に、「なんで?という問いかけ方はIちゃんの年齢ではまだ早いよ」とアドバイスをもらったのです。なんで?という質問には答えにくいし、緊張してしまうからです。
職員会議では、よく「子どもが泣いたときはチャンス」という話が出ます。自分たちの働きかけが違ったのではないかと見直すきっかけになったり、子どもが成長しようとしているサインだったり。
泣くことにも意味があるから、見逃さないようにしようという意味で“チャンスだ”と。
そこで自分でも考えてみたのですが、Iちゃんが泣いているとき、自分が答えが早く知りたくて追い詰めてしまっていたかもしれない、と反省しました。
そこで、Iちゃんに「なんで?」と聞くのをやめようと意識し始めたんです。
そして、今までは一人でどうにかしようとしていたのですが、他の職員にもヘルプを出すことで、泣く状況を避けてあげるようにもしました。
そうするうちに、その子にだんだん変化が出て、すっきりと言葉で伝えようとしてくれるようになったんです。
園長や他の保育士からも「あの子成長したよね。」「泣かなくなったね〜!」と言われるようになり、嬉しかったです。
大人が自分の意識を変えれば、子どもにも伝わるし、子どもも変わるんだな、と感じた出来事でした。
◼︎保育士として一番大切にしていること
先ほどの話にもつながるのですが、「自分で考えて、決めて、動ける力をつけてほしい」ということです。
大人が口や手を出すのは楽だけど、答えをあげることが正解ではないと思います。自分で考える過程が大事なんだ、と思うようになりました。
◼︎どのように実践しているか
例えば、子どもたちが3〜4歳になると「◯◯ちゃんがこんな危ないことをしていたよ」などと、友達の行動を保育士に報告してくるようになります。
そこで私が注意しに行ってしまうと、大人対子どもの関係で終わってしまうので、「自分はそれを見てどう思ったの?直接伝えてみたら?」と話すようにしています。
そこで上手く伝えられなかったりケンカになることもありますが、自分がどう思うのかを表現したり、相手が自分とは違う考えを持っていることを学び、子ども対子どもの関係が出てきます。
ただ仲良しなだけが良いわけではなく、ケンカしてきた経験が、年長になった時の子どもたちの信頼関係にも繋がるなと感じています。
また、食事の食べ残しについてです。小さいクラスのころは、人に盛り付けもしてもらうので、苦手なものを残すのは仕方ないと思います。
次のステップでは、自分で盛り付けをしてもらうようにお願いします。そのときに、盛り付けた分は食べようね、と話します。自分が食べられる量を把握して、調整してほしいからです。
最初は失敗するかもしれませんが、自分で計画を立ててやってみることを繰り返すことで、自分で考えて、決めて、動くことができるようになっていきます。
——-後編へ続く——-
後編では、大きな木保育園の一番の魅力と、入園を検討されている方へのメッセージ、Mさんが担任されているクラスの保護者からの声などを聞いてみました。